取扱説明書

副隊長さん
取扱説明書

――デンジくん専用版――
品名
副隊長さん
対象者
デンジくん(1名様限定)
用途
末永くいい感じに取り扱うため
保証期間
ずっと

※ご使用の前に、この説明書を最後までよくお読みください。

00

はじめに

この説明書は、私こと副隊長さんを、デンジくんが末永くいい感じに取り扱うためのものです。

他の人にはあんまり役に立ちません。

というのも、私はたぶん、デンジくん相手だとかなり挙動が違うからです。
職場では一応そこそこちゃんとした大人だし、後輩の面倒も見るし、何かあったら指示も出すし、嫌なことがあっても大体笑って誤魔化せます。

でもデンジくん相手だと、そういうのが結構なくなります。
寂しかったら寂しいし、嫉妬したらめちゃくちゃ嫉妬するし、構ってほしい時は構ってほしいし、可愛いなと思ったらずっと可愛いよ可愛いよって言いたくなるし、好きだなと思ったら急にものすごく好きになります。

自分でも面倒くさいなとは思います。
なので、ある程度は諦めてください。

❀ ❀ ❀

あと、これは先に書いておくけど。
私が「大丈夫」って言ってる時、本当に大丈夫なこともちゃんとあります。

全部疑われるとそれはそれで困ります。

ここだけチェック

ただし、目を合わせないまま言ってる時とか、妙に元気な時とか、急に仕事の話しかしなくなった時は、ちょっとだけ疑ってください。

よろしくお願いします。

─ 1 ─
01

基本的な取り扱い

基本的にデンジくんのことを構いたがります。
ご飯を食べさせたいし、何か買ってあげたいし、髪がぼさぼさだったら直したいし、具合悪そうだったら世話焼きたいし、酔っ払って帰ってきたら水も飲ませたいし、眠そうだったら寝かせたいです。

これは別に義務感でやってるわけじゃありません。私がやりたいからやっています。

なので、「自分で出来るからいい」と全部断られると、ちょっと寂しいです。
たまには頼ってください。
なんなら、全然出来ることでも頼ってくれていいです。

「副隊長、これやって」 「腹減った」 「これどこにある?」

そういうくだらないことで十分です。ていうかむしろそっちの方が嬉しいかも。

おねがい

ただし、だからといって私に何もかも任せきりにすると普通に怒ります。

その辺はいい感じにしてください。

デンジくんなら出来ると思います。

─ 2 ─
02

機嫌がいい時

分かりやすいと思います。

いつもよりよく喋ります。よく笑います。デンジくんの周りをうろうろします。

くっつくし触ります。

頭を撫でます。

ご飯を食べさせます。

「かわいいね」と言います。

何がそんなに可愛いのか自分でも説明出来ない時がありますが、その時は本当にただ可愛いと思っているだけなので、気にしないでください。

それと、たまに突然ものすごく好きになります。これは本当に突然です。寝てる顔を見てただけとか、漫画読んでるのを見てただけとか、歯磨きしてるのを見てただけとか、ご飯食べてるところを見てただけとか……。

そういう時に急に、あっ。好き。大好き。すきすきー!
って、なります。

その場合はしばらくくっついてきたり、何回も好きと言ったり、顔を見たり、抱きしめたりする可能性があります。
少々鬱陶しいと思います。
でも、この時に本気で邪魔そうにされると結構傷つくので、出来れば適当に受け止めてください。

かんたん対処法

全部返してくれなくてもいいです。
一回くらい「俺も好き」と言ってくれれば、多分しばらく機嫌よくしてます。

─ 3 ─
03

嫉妬した時

かなり面倒くさいです。先に謝っておきます。
私はデンジくんが女の子と喋っただけで毎回怒るわけではありません。

普通に仕事もあるし、人付き合いもあるし、私以外の人間と仲良くするななんて言うつもりもないです。

でも時々、駄目な時があります。私より可愛い女の子がいたとか。胸が大きかったとか。やたら距離が近かったとか。デンジくんがちょっと嬉しそうだったとか。

理由なんてその程度です。
そうすると頭の中がぐわーっとして、自分でもちょっと嫌になるくらい色んなことを考えます。

してはいけないこと

ただ、この状態の私に「何怒ってんだよ」と詰め寄らないでください。

私はそういう時、一回デンジくんから離れようとします。ちょっと時間が欲しい、と言うと思います。話しかけないでと言うこともあるかもしれません。
それは嫌いになったという意味ではありません。

むしろ逆です。
好きだから、余計なことを言いたくなくて離れています。だから少しだけ一人にして。だけど、本当にはいなくならないでください。
廊下の向こうとか、同じ家の別の部屋とか、そのくらいでいいです。私が戻ってきた時にまだいてくれれば、それでいいです。

─ 4 ─
04

落ち込んでいる時

見分け方は難しいです。私は結構隠すのが上手なので。一応、自分から「今日は駄目かも」と言えるように努力はします。でも、多分まだ時々失敗します。そういう時は、私は普段よりちょっとだけよく喋ります。

明るくします。
変なことを言います。
別の話題を出します。
ご飯の話をしたりします。
デンジくんに何か食べさせようとするかもしれません。

なので、「なんか今日うるさくね?」と思ったら、ちょっとだけ顔を見てください。それでもし本当に駄目そうだったら……別に、立派なことは言わなくていいです。
理由を全部聞き出さなくてもいいです。

「今日一緒に寝る?」 「飯食う?」

そういうのでいいです。

私はたぶん、そういう普通の言葉の方が嬉しいです。

すきなもの

頭を撫でてくれるのも好きです。

抱きしめてもらうのも好きです。

デンジくんって体温高いから、くっついてると結構安心します。

─ 5 ─
05

夜の取り扱い

あんまり寝るのが得意じゃありません。デンジくんは逆にめちゃくちゃ寝るのが上手なので、羨ましいです。
隣で寝てるデンジくんを見ながら、私だけ眠れないことがあります。そういう時、起こすのは悪いなと思って、一人で勝手に悩んでいる場合があります。

でも本当は、ちょっと起きてほしい時もあります。
この辺は自分からちゃんと言うように頑張ります。

もし夜中に私がリビングにいたり、ベッドを抜け出していたりしたら、「何してんの」と一回だけ声をかけてください。
本当にただ水飲んでるだけなら、そのまま寝てていいです。

だけど、そうじゃなくて……そうじゃなくて、なんとなく帰ってこないとか、理由もなくぼーっとしてるとか。
そういう時は、連れ戻してくれると嬉しいです。

たいしょほう

大袈裟に励ましたりしなくていいです。布団の中に入れて、隣にいてください。
多分、それだけで結構どうにかなります。

─ 6 ─
06

私が怒っている時

私はデンジくんに対して、本気で怒鳴ることはそんなに多くないと思います。
怒ったとしても、一回自分の中で処理しようとする方です。

ちゅうい

なので、逆に静かな時の方がちょっと危ないです。

ただし、怒っている=デンジくんを嫌いになった、ではありません。
私の場合、むしろ「好きなのにこんなことで怒ってる自分が嫌だ」という自己嫌悪まで一緒についてきて、余計に機嫌が悪くなっていることがあります。
なので、私が一旦落ち着いたあとに普通に話してください。

謝るべきことがあるなら謝って。
もちろん、別にデンジくんが悪くないなら、その時は無理に謝らなくていいです。
その代わり、私が勝手に不安になってるだけなら、ちゃんとそれを否定してください。

「そんなことで嫌いにならねぇよ」とか…………。

ちょっと恥ずかしいと思います。私も今かなり恥ずかしいです。

だけどきっと効きます。

─ 7 ─

特記事項:デンジくんへ

ここまで書いておいてなんだけど、多分、デンジくんに限って言えば、私を扱うのにそんなに難しいことはいりません。

一緒にご飯を食べて、帰ってきたらただいまと言って、たまに私の話を聞いて。一緒に寝て、時々抱きしめて。
私が本当に変な方向に行きそうだったら止めて。

そのくらいでいいです。
私はデンジくんに何かすごいことをしてほしいわけじゃないし……。

……。

……や。
一緒に住んでずっと一緒に居て欲しいっていうのも大概凄い事ではあるんだけど……ごにょごにょ。ただ、口で言うほど激情という訳でもないというか。

例えば私は、デンジくんが私だけ見ててほしいなと思う瞬間があります。結構あります。でも、それを本当にやれとは思ってないです。そこは分けて考えられます。
一応、大人なので。

あとは、私がデンジくんの世話を焼いているからといって、私の方がいつも余裕があると思わないでください。むしろデンジくん相手だと全然余裕ない時があります。可愛いなあと思ってる時も嫉妬してる時も、寂しい時も、好きでたまらない時も、大体全部、思ってるよりずっと大きいです。

でも、あんまりそれを全部見せたら重たいかなとか鬱陶しいかなとか、デンジくんにはもっと別の人生があるんじゃないかな、とか。
たまにそういうことを考えます。

いちばん大事なところ

だから、もし私が急に勝手に引っ込もうとしたら。
その時だけは、ちょっと捕まえてください。

それから、私がいっぱい好きって言っても、全部に返事しなくていいです。デンジくんが一回言ってくれた言葉を、私は結構長く覚えています。だから毎日じゃなくて大丈夫。

たまにでいいです。
でも、たまには絶対言ってください。

─ 8 ─