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全 10,382 文字

「デンジのやつがワシに『お願いしますパワー様』と言うから、仕方なく野菜を分けてやったんじゃが……」

「うん」

「そこであやつがまたバカでのう。床に落ちた人参を、そのまま食べよったんじゃ。案の定、腹を壊して――」

「うん」

 ああまた始まった。そんな呆れから入るデートだった。

 麗らかな春の陽光の降り注ぐ公園のベンチの上。少しだけ気合いを入れて選んだショートパンツから伸びる脚。パワーちゃんが好きそうな色を選んだメイク。鏡の前で何度も確認して、変じゃないかな、可愛いって思ってくれるかな、なんて考えて来たのに。

 別に、不満ってほどじゃない。

 パワーちゃんが楽しそうに喋ってるのは可愛いし、デンジくんがどうしようもないバカをやっている話だって、聞けばそれなりに面白い。だけど、胸の奥に小さな石ころをばらまかれたみたいなかんじ。じゃりじゃりざらざらする。

「なんだかデンジくんの話ばっかりだね」

「……おう?」

 言ってからしまった、と思った。心が狭いなあって、自分でも分かってる。分かっているのに、くちびるは止まってくれない。

「そんなにデンジくんが好きなら、今日はご飯だけ食べて、デンジくんのとこ帰ったらよかったのに……」

「な……なんじゃ。拗ねておるのか……?」

「うん。少しだけ」

 そう答えると、パワーちゃんは見たこともないくらい珍しい顔をした。眉を下げて、私の顔色をちらちら窺っている。あ、パワーちゃんでも困ることあるんだ。そう思ったらちょっとどうでもよくなった。なったけど、拗ねてますってポーズを取った以上すぐに訂正するのも癪な気がして、意地を張ったまま黙り込む。

「……で、デンジの話は、もうしない」

「や、そこを制限したかったわけじゃないよ……ごめんね。ちょっと、心狭かったかも」

「本当じゃ。……しかし確かに、ワシも無粋だったかもしれんの……」

「うん」

「……う!?」

 肯定されると思っていなかったのか、パワーちゃんが小さく唸った。その声があまりにも不満げで、あまりにも可愛くて、胸の石ころがころんと形を変える。さっきまで重たかったものが、今は少しだけ、甘く疼いている。

「で……では、ワシにどうしろというんじゃ」

「どうって言われると難しいけど……」

 白い頬。赤い角。落ち着きなく揺れる視線。

「もうちょっと、恋人らしいことしたいなあって」

「恋人らしい……?」

「うん」

「で、では……そうじゃのう……」

 パワーちゃんの角がふるふる揺れた。そのまましばらく黙り込んで、難しい顔をして、やがて私の顔を伺いながら。

「ちゅ、ちゅうでも、するか……?」

「……ぁは。それって本気?」

「な、なんじゃ! バカにするな!」

「だってパワーちゃんちゅうなんて出来るの?」

「なにおおお! ワシはちゅうの世界記録保持者なんだぞ!?」

「ちゅうの世界記録」

「そうじゃ!」

「それはぜひお手合わせ願いたいな」

 果たしてどれほどお上手なのか。公園のベンチから立ち上がって手を差し伸べる。パワーちゃんはその手と私の顔を交互に見て、きょとんとしていた。

「行こう」

「どこへ?」

「人目を気にしないでちゅうできるとこ」

 パワーちゃんの目がぱちぱちと瞬く。意味を分かっているのかいないのか。

「お、おお……? 望むところじゃあ!」

 けれど確かに、その声はいつもより少しだけ上ずっていて。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 さっきからずっとパワーちゃんの長い脚がシーツを蹴り続けている。かわいい。かわいい。

「やっ、やああ……♡もうべろきすやだぁ……♡」

「どうして? パワーちゃんは”ちゅう”の世界記録保持者なんでしょ? これくらい軽くいなさなきゃ」

「いってない、いってないい……もうやぁ……♡」

「ふふ、うそつき」

 やろうと思えば私なんて押しのけられるでしょうに、全然本気で嫌がってないね。なんていったら拗ねて怒っちゃうかな。

「ほら、お口あけて」

 ちゅ、と一度だけ唇を離してから、もう一度深く塞ぐ。さっきまでぎゃあぎゃあ騒いでいたパワーちゃんの舌が、もうほとんど抵抗もせずに私のに絡みついてくる。ちゅう、ちゅく、と濡れた音。あああ、脳みそ蕩けちゃいそう。かわいい、かわいい……。もういっそこの子ごとたべちゃいたい。

 空いた手を、するりと、下に滑らせる。太ももの内側をなぞって、その奥へ。

「ひゃっ……♡」

 もうとっくにぐしゅぐしゅになっていた。指の腹がほんの少し触れただけで、くちゅ、と恥ずかしい水音が鳴る。

「パワーちゃん、ここびしょびしょだよ」

「い、いうな……ばかぁ……っ♡」

「ふふ、ごめんね意地悪で……」

 真っ赤になって、私の胸を弱々しく叩いてくる拳がかわいい。かわいい。指の腹で入口の周りをなぞる。ふっくらしてやわらかくて、熱い。くちくちと音を立てて、ゆっくり、ゆっくり、慣らしていく。パワーちゃんは目をぎゅうっとつむって、私のシャツの裾を握り締めて、息を詰めている。だめだよ、ちゃんと呼吸しなきゃ、ぺろりと唇を舐めたら言ってもないのにぱかりと口を開けて、もう、あはは……かわいすぎて、興奮で、頭がおかしくなりそう。

「……指、入れていい?」

「ぅ、ん……♡」

 こく、と小さく頷くのを確認してから、人差し指の第一関節をそっと埋める。

「んっ……♡♡」

 ぴくん、と腰が跳ねた。中はもうとろとろに溶けていて、締めつけてくる粘膜が指を奥へ奥へと引き込もうとしてくる。

「痛くない? 大丈夫?」

「う、ん、いたくない……♡」

「ん、よかった……いいこ、いいこ……かわいい、かわいいよパワーちゃん、だいすきだよ……♡」

「やぁっ……♡それやだぁ……♡」

「どうして……? かわいいって言われながらの方がパワーちゃんもきっときもちよくなれるよ……♡」

 もう片方の手で頭を撫でながら、指をゆっくり奥まで沈めていく。中はあったかくて、柔らかくて、私の指の形を確かめるみたいに、きゅうきゅうと締めつけてくる。

 さっきまで荒っぽい言葉を投げ返してきていたくちびるからは、もう、声にならない吐息しか漏れない。

 第二関節、第三関節、少しずつ深く。お腹側を擦るようにして、ゆっくりゆっくり抜き差しを始める。

「ふ、ぁ……♡ ぅ、ふ、ぅ……♡♡」

「気持ちいい?」

「ぃ、い……っ♡」

「よかった……♡」

 ならもう少し奥。もう少し、強く。指の腹でお腹側を、ぐりぐり、と。あ、ここだ。パワーちゃんの腰が、ぴくっ、と分かりやすく跳ねた。

「ふ……♡♡♡??? な、なんじゃ、これ……♡♡」

「ふふ、見つけちゃった」

「やっ、やだ、やだ、なんかこわいっ……♡」

「うん……?」

「なんかきちゃう、きちゃうっ……♡」

「あはは、きちゃうだって……可愛い……♡ 好き、好きだよパワーちゃん……♡いっぱいきもちよくなろーね……♡」

 いとしくて、たまらなくて、頬にちゅ、と唇を寄せる。それから、もう片方の手で自分の胸元のボタンを緩めて。

「ほら、ぱふぱふしてあげる」

「う……♡」

 ぐずぐずに溶けた目で、それでもおずおずと、パワーちゃんが顔を寄せてくる。かわいい。すけべばぶちゃんだ。その頭を撫でながら指は止めない。ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ。お腹側のいいところを、根気強くずっと押し続ける。

 ちゅ、ちゅう、ちゅう。

 パワーちゃんの吸い付き方がだんだん弱くなる。代わりに口の端から、ふ、ふ、と切れ切れの吐息が漏れて……ああもう限界が近いのかな。なら指のリズムは一定のままで。

「怖くないよ、きもちいい、きもちいい」

「ふぅ……♡♡♡ ふ、ぅ、ぅぅ……♡♡♡」

 シーツを蹴っていた長い脚が、いつのまにかぴんと伸びていて。その癖はちょっと矯正したいけど……初めてならまあ、口うるさくいうこともないよね。

「あ、♡♡ あ、ぁ、♡♡♡」

 とん、とん、とん……心臓に合わせるリズムで頭を撫でる。指の腹で、ぐち、ぐち、ぐち、と一番奥のすこしふくらんだ部分を優しく虐めながら。「んう゛っ゛♡♡」ちゅう、と、ひときわ強く胸の先に吸いつかれた瞬間。

「〜〜〜〜〜〜っ♡♡♡♡♡♡♡♡」

 声にならない悲鳴を上げて、パワーちゃんの全身がびくびく跳ねた。中がぎゅうぎゅう、ものすごい力で私の指を締め付けてくる。あは、かわいい、かわいい……♡脚の先までぴんと張って、震えて、痙攣して。怖くないよ、大丈夫。大好きだよ、大好き……♡

「う、うう、もうやぁぁ……♡ おうちかえりたいぃ……♡」

「ぁ~~……かわいい……ぱわちゃん、泣いちゃうの……?」

「ひう……あっ♡!!」

 ぷしゅ、と恥ずかしい水音がひとつ鳴って、白い太ももの内側を、つう、と一筋、伝い落ちていった。その音も嫌だったのか、とうとうパワーちゃんが涙目になって唇をかむ。

「も、えっちやだぁ……♡」

「う~ん……イくの怖かった?」

「こわ、かった……っ♡ あたままっしろで、やなのにとまんなくって……♡」

「わ……ごめんね、ちょっと私が調子に乗りすぎたね。じゃあ今度はもうちょっと優しくするから、ご機嫌なおして?」

 しゃくり上げているパワーちゃんのおでこに、ちゅ、と唇を落とす。ぴくりと角が震えた。

 濡れた指をぺろりと舐め取ってからパワーちゃんの脚の間に体をすべりこませて、もう片方の太ももの内側に、ちゅ、と口づける。

「う、う、やあっ……まだするのっ……?」

「うん……お願い、私が舐めたいの。だめ?」

「だめ……じゃ、ないけどっ……」

「ふふ、じゃあいただきます……♡」

「ぁ、ぁあっ……♡」

 太ももがふるふる震えて、私の頬を挟みこんできた。やわらかい。あったかい。かわいい。かわいい。もうこの太ももの内側で窒息して死ねたら本望かもしれない。

「ん……っ。ぷは……♡ね、指で中をかき回されるよりは怖くないでしょ?」

「う……それは、そうじゃけどぉ……♡」

「ほら……足の力抜いて?」

「ぅ……」

 もぞもぞ太ももの力が緩んだのを確かめて、両手でそっと押し開く。

 ぐしゃぐしゃに濡れたそこが、しょぼん、と私を見上げている。さっきイったばかりだから、まだひくひく震えていて。かわいい……広げてみたら怒られちゃうかな。でもひろげちゃえ。怒られても別にいいや。

「にゃ゛あああ゛っ゛!!! やめろ!!! ひろげるなぁっ♡♡!!」

 あは、案の定。でも気にしない。ちゅ、ちゅ、ちゅ、まずは優しくキスだけをする。

「っ、ううう゛う゛う゛~~~……♡」

 ぴくん、と腰が跳ねた。怖がらせないように、口先だけで、ちゅ、ちゅ、と外側にだけ。内側はまだ触らない。怖がりさんだから、外周からゆっくりゆっくり。

「ふ、ぅ……♡」

 じわじわと、息を吐く音が変わっていく。ふー、ふー、と意識して呼吸を整えようとしているのが伝わってくる。えらい。えらいね。太ももの付け根からふくらみの脇に沿って、ちゅう、ちゅう、と唇でなぞる。舌は出さない……まだ、出さない。じれったいくらいゆっくり、唇だけの愛撫。本当はふるふるしてる突起に今すぐにでもむしゃぶりつきたいけど、がまん、がまん。

「や、やあ、そんなへんなとこばっかり、じれったい……♡」

 ふふ、文句が言えるようになってきたの? なら大丈夫だね。じゃあ……舌先を少しだけ覗かせて、皮の上から一度だけ、舐め上げる。

「ぁ……♡♡」

 甘い声。さっきの悲鳴みたいな喘ぎ声とは違う、柔らかい声。

「こわくない、れひょ?」

「ぅ、ん……♡こっちは、こわく、ない……♡」

「よかった。じゃあ、ちょっとだけ、ちゃんと舐めるね」

 猫がミルクを舐めるみたいに、舌の幅をたっぷり使って全部を舐める。急がない。圧をかけない。う~ん、処女ってかわいいな。手がかかってかわいいな……♡

「ふ……ぁ、♡ ぁ、ぁ……♡」

 パワーちゃんの呼吸がだんだんリズムを持ち始める。私の舌のリズムに合わせて。シーツを蹴っていた長い脚はもう跳ねない。代わりに、私の頭をきゅう、と挟み込んでる。いいこ。いいこ。かわいいなあ……♡このまま酷い事したくなっちゃうじゃん。泣いてる顔見たくなっちゃうじゃん……もう、そのあたり分かってるんだろうか。この、この。

 皮の縁を舌先でちょっとだけめくる。顔を覗かせた小さな小さな突起に、ふぅ、と息を吹きかけてみる。

「ひぅっ……♡」

「ふふ、息だけで反応しちゃうね。かわいい……」

「ぁ……だって、だってぇ……♡♡♡」

 腰が跳ねてるけど、さっきまでみたいな逃げる動きじゃない。もっと欲しがる動き。気付いてるかな、パワーちゃん。自分から押し付けてきてるの。時々、唇で軽く挟んで、また舌に戻る。それの繰り返し。パワーちゃんの太ももが私の頬を挟みこんだ。しがみつくみたいな挟み方。

「あ……ぁ、ぁ、きもちい……♡」

「ん……そのちょうし。ちゃんと口に出して気持ちいいって言ってたら、そのうち怖くなくなるよ」

「ぅ、ん……♡きもちいい……♡」

 よしよし、素直でいいこ。ご褒美に、一度だけしっかり吸ってあげる。ぴくん、とまた腰が跳ねた。でも言われたことを意識してるのか、すぐにまた力を抜いてくれた。えらいえらい。

 もう少しだけ、舌に圧をかける。さっきよりほんの少しだけ。それでパワーちゃんの呼吸が乱れたらまた少しだけ強く。怖がらせない範囲で。少しずつ、少しずつ。

「ふ……ぁ、ぁっ……♡ きもち、いいぃ……♡」

「うん。うん、いいよ、いっぱい言っへ」

「きもちい、きもちいよぉ……♡」

「ふふ、上手……」

 じわじわと根元の方がぷっくり膨らんでくるのが舌先で分かる。もうちょっと。慌てない。慌てちゃだめ。

「ぁ、ぁ、ぁ……♡♡♡」

 パワーちゃんの息が浅くなる。私の頭を挟んでいる太ももの内側がふるふる震えだす。ぺたんこの綺麗なお腹がすー、と凹んでは、ふくらんで。波打つみたいに。もうちょっと。もうちょっとだね。

「あ、ぁ、また、なんかきちゃう……っ♡♡」

「きへいーよ……♡も、こわくないれひょ?」

「こわく、ない、けどっ……ぅ、ぅん、きもちいい……っ♡♡♡」

えらい。えらい、いいこ。ちゅう、と少しだけ強く吸う。唇のなかでころころ転がして弄ぶ。かわいい。ずぅ~~っとこのままいじめてたいな……。でもそうしたら泣いちゃうかな。ぱわちゃんにはもっともっとマゾになって貰わないとなぁ……そこは私の腕の見せどころだけど。

 太ももが、ぎゅう、と私の頬を強く挟む。膝の裏がふるふる震えてる。

「もういっかいいこーね……♡」

 最後にひときわ強く、ちゅう、と吸って。

「ふ、ぅ……♡♡♡♡♡」

 声にならない悲鳴と一緒に、パワーちゃんの全身がのけぞって痙攣した。長く長く尾を引いて、ふー、ふー、と全身でゆっくり呼吸している。そうだね、たっぷり焦らして弱火でいじめられてた分、ちょっと重たいね。

「ふ、ぁ、ぁ……♡」

 太ももの力がふにゃりと抜けて、私の頬から落ちた。

「は、はぁ……♡ はぁ、はぁ……♡」

 ぐったり弛緩したパワーちゃんがシーツに沈み込んでいる。さっきまでぴんと張ってた脚が今はぐにゃっと投げ出されて、つま先がふるふる震えてる。あー、蟹股のまんま……みっともなくて情けなくてかわいい。虐めたい。最高にかわいい。私におちんちんが付いてたらこのまま泣きじゃくるまで犯してるのに……。くやしい。くやしいな。でもディルドなんてナンセンスだよね。

 ちゅ、と内ももにお別れのキスを落として上に這い上がる。汗で湿った前髪を額から払ってあげると、とろんとした目で私を見上げてくれた。

「上手だったね、ぱわちゃん」

「ぅ……♡」

 お口の端からよだれが伝ってる。それを親指で拭ってあげながら……あー、ちょっと、私も、もう、限界かも。

「ねえ、パワーちゃん」

「ふ、ぇ……?」

「私もきもちよくなりたいな……」

 返事を待たず、とっくにずぶ濡れになっていたショーツをするりと脱いだ。ぱわちゃんの脚を片方持ち上げて、自分の脚を絡めるみたいにして。

「ぴゃっ……♡♡」

「ぴゃあだって、かわいい……っ♡ほんと、こねこちゃんみたいだねぇ……♡」

 あったかい。とけそう。私の声まで甘くっちゃう。さっきまで散々舐めて吸って弄っていたパワーちゃんのそこはもう熱を持ちすぎていて、触れただけでとろけちゃいそう。きもちいい……このままたべちゃいたい……♡

「な、なんじゃ、これっ……♡」

「ね……指とも舌ともちがって気持ちいいでしょ……?」

 ゆっくり腰を動かして、あふれ出たものを擦りつけて。

「ふぁっ……♡♡♡ な、なんじゃこれ、なんじゃこれぇ……♡♡」

「ふふ……これも、初めて……?」

「は、はじめてっ……きもちい、きもちいい……っ♡♡♡」

「ん、私も……気持ちいい……♡ ぱわちゃんの、あったかいよ……♡」

 角度を変えるとまた違うところが当たる。前後だけじゃなくて、ちょっと回すみたいに。ぐりぐり腰を揺らす。パワーちゃんの腰が私のリズムに合わせて勝手に動き始める。さっきまで全部受け身だったのに、もう、自分から擦りつけてきてる。気付いてないんだろうな。本人は必死でただ気持ちよさについていこうとしてるだけで。

 かわいい。かわいいかわいいかわいい。大好き……♡

「ん、ぱわちゃん……♡ パワーちゃん、好き、好き……♡」

「す、すきっ……ワシも、すきっ……♡♡」

「っ…………あ~~~……♡♡どうして君はそう……」

 そう嗜虐心のツボを押さえてくるのかな……かわいい……頭の中がとろけそう……もう、だめだ。その声でいっちゃう。

「ぱわ、ちゃ……っ、ぁ、ぁ、ぁあ……♡♡」

 腰のリズムが勝手に速くなる。恥ずかしい音が部屋にひびく。お互いのが混ざって、シーツがびしょびしょになって、それでも止まらない。とまれない。すき、すきすきすきすき……♡

「あ゛、あ゛♡!!ワシも、ワシもまたっ……♡♡♡」

「ん、ぁ、いっしょに、いっしょにいこ……♡」

「ぃ、っしょ、いっしょ……♡♡♡」

 ぎゅう、と手を握る。指を絡ませて強く強く。目の前が白くなった。腰の奥から、ぞわぞわぞわ、と熱が広がって、つま先まで突き抜ける。

「ふ、ぁ……♡♡」

「は、ぁ……♡♡♡あは、きもち、かったねぇ……♡」

 はー、はー、と肩で息をしながら、ゆっくり、お互いの体から力が抜けていく。パワーちゃんが、こてん、と顔を横に倒した。

 半開きのお口からゆっくり息が漏れて、とろん、とした目が、ぼんやり天井を見上げてる。あ、これ、もう完全に意識飛びかけてるな。

「ふ、ふぅ……」

 もうすっかり終わった、って感じの顔。油断しきってて蕩けてる。ふわふわ子猫ちゃん。お眠さんだね……ふふ。ふふふ。もうちょっとだけ、いじめたくなっちゃうな。

 そっとパワーちゃんの後ろに回り込んで、背中にぴったり胸をくっつける。汗で湿った白い肌があったかい。すべすべしてる。耳の後ろに鼻先を埋めて、ちゅ、と一度キスをしてから。

「ぱわちゃん」

「う、ぇ……?」

「最後にこれも覚えておこうね」

「ふぇ……? な、なんじゃあ……」

 返事を待たずに片手をするりとお腹のほうへ。さっきまで散々いじめられてたせいでとろっとろにふやけきっているそこへ、薬指と中指を滑り込ませた。

「ふぎゃっ♡♡??!!?」

 ふぎゃだって、かぁわいい……♡

「もうぜんぶ覚えちゃってるね、ぱわーちゃんのここ……すぐ私の指のかたちに合わせてくる……♡」

「や、やめ、ま、まって、まだ、だめっ、ゆるしてっ♡!!」

「ごめんね、これだけ。これだけだから……♡」

「やあああ♡♡ もうきもちいのやだ!! やらあっ♡♡!!」

 指の腹でお腹側のとふくらんだところを捏ねる。ごめんね、問答無用なの。だってこぉんなにかわいいんだもん……♡

「ふぁ、ぁ、やだ、やだぁ……♡ もう、むりぃ、むりじゃあ……っ♡♡♡」

「そうだね、無理だね。だから、力抜いてていいよ……♡ ぜんぶ、わたしがやるから……♡」

 もう一回り敏感になってる中が私の指にきゅうきゅう絡みついてくる。耳元で荒い息。さっきまで弛緩しきっていた体に、また、じわじわ、力が戻ってくる。

「ぁ、ぁ、また、また、なんかきちゃうっ……♡♡」

「ん、いいよ、きていいよ……♡」

「ちが、ちがう、それじゃない、なんかちがう、なんか、なんかでちゃう、なんかへんなの、でちゃうのっ……♡♡♡!!」

「ふふ……」

 でちゃうかあ……♡こわいのきちゃうかあ……♡ああ、ああ、かわいい……♡

「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ、ぱわちゃん。我慢しないで、ぜんぶ出していいから……♡」

「やだ、やだ、まって、まってっ……♡♡♡」

 ぱわちゃんの腰がぎゅうと緊張する。逃げようとする。でも背中から抱き込んでいるからもう逃げられない。私の指も止めない。ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ、いじわるなリズムを上げる。

「ま、まって、まって、ほんとに、ほんとになんかでそうなんじゃっ……♡♡♡!!!」

「うん、出して? いいこだから、出していいよ……♡」

「やだ、やだあ♡!! といれ、といれっ♡♡!!!」

「あはは♡おしっこでもここで漏らしていいよ~? もしおもらししらクリーニング代出してあげるっ♡」

「ふ、やぁ、やぁああああっ♡♡♡♡♡!!!」

 ぴしゃっ。白い太ももの内側を、透明なしずくが勢いよく飛び散っていった。シーツがじゅんわり濡れてく。一度きりじゃない。私の指のリズムに合わせて、二度、三度……ふふ。良い勢い。よっぽど気持ちよかったんだ?かわいい……♡

「あ、ぁ、ぁ、ぁ……♡♡♡」

 ぱわちゃんの全身が、びくびく、と痙攣している。私の腕の中でこねこみたいにふるえてる。ゆぅ~~っくり時間をかけて指を引き抜いたら、また最後に小さな潮を吹いて。

「あは、ぱわちゃん……♡」

 もうだめだ、とまれそうにない。口の中に指を突っ込んで、汚した指をパワーちゃんになめさせる。 ああ、ああもう、優しくするって決めてたのに!

「我慢してたのに、みっともなくおもらししちゃったね~……♡」

「……っ!?」

 一瞬、パワーちゃんの体が固まった。

 それからしばらくわなわなと震えて……。

「や゛だ♡♡!!! や゛だ♡♡♡!!!! ワシおもらししてないもん゛♡♡♡!!!」

「ふふ、じゃあどうしてシーツが濡れてるの?」

「してない゛、してないも゛ん゛!!! ぢがう、ぢがうのっ、これ、これ、これはっ……♡♡♡!!」

「うんうん、これは?」

「わ、わかんないけど、おしっこじゃないも゛ん゛……っ♡♡♡!!!」

 ぼろぼろ、と大粒の涙がこぼれだした。ふえええ、と子供みたいに、声をあげて、泣き出してしまった。角がふるふる震えてる。耳まで真っ赤になってる。

 あー、もう………………かわいい。

 ぎゅう、と後ろから抱きしめて、ふわふわの髪に頬を埋める。

「ごめんごめん、嘘だよ、おしっこじゃないよ、ちゃんと知ってるから……♡」

「ぅ、う……ほ、ほんとうかぁ……?」

「ほんとほんと。気持ちよすぎるとね、そうやって出ちゃう子もいるんだよ」

「ぅう……♡」

 しゃくり上げながら子猫が私の腕の中で、丸くなる。いじめがいがありすぎて、これ、これからもずっと、いじめちゃうな、私……優しくしたい。優しくしたいのに。どうしよう、どうしようね?でもパワーちゃんが悪い子なんだよ、パワーちゃんがかわいいから……♡……はっ!いけないいけない。またスイッチが入りそうだった。

「ふえぇ……」

 しゃくり上げる声がだんだん小さくなっていく。私の胸元にぐりぐりと額を押し付けて、しまいには鼻を啜って弱々しい泣き声。頭のてっぺんに、ちゅ、と何度もキスを落とす。汗で湿った髪を、何度も何度も撫でる。とん、とん、と心臓に合わせたリズムで背中を叩いて。

 しばらくして、パワーちゃんの呼吸が、ふー、ふー、と少しずつ落ち着いてくる。

「ぱわちゃん」

「……んぅ」

「お風呂いこっか。汗ぐしゃぐしゃでしょ?」

「ねむい……」

「うん、でもお湯につかったら、もっと気持ちよくねむれるよ」

「……ぅう」

 むずがる子供みたいに、もぞもぞ、と私の腕の中で身を捩る。今は17時。6時間くらい仮眠を取って……終電前に帰してあげよう。こんなにぐちゃぐちゃの状態で、はい立って、帰ろうね、なんてちょっぴり可哀想だし。アキくんにはまあ、適当に連絡しておけばいいよね。

 じゃばじゃばお湯を張って、温度を確かめて、それからベッドに戻る。パワーちゃんはまだぐったり丸まったままで、ふー、ふー、と寝息みたいな呼吸を立てている。あんまり体格が変わらないから、少しお姫様だっこが大変。

 お湯の中で、後ろから抱きかかえて、髪を一房ずつ丁寧に洗っていく。

「パワーちゃん」

「ぅ……」

「気持ちいい?」

「……んむ」

「うん、いいこ。もうちょっと我慢してね」

 泡を立てて体を洗ってあげる。太ももの内側を慎重に、丁寧に。

「ん、ぁ……♡」

「ふふ、ごめんね、もうしないから……ちょっとだけ我慢してね」

「ぅ……はやく、すませてくれっ……」

「はーい」

 タオルでぽんぽん、と水気を拭いて、着替えさせて、ベッドに戻す。シーツは……ああ、もう、ごめんなさいだなぁこれ……。とりあえずバスタオルを敷いて、その上にパワーちゃんを寝かせる。冷蔵庫から冷たい水を持ってきて口元にあてがう。半分寝ぼけたまま、こく、こく、と二口だけ飲んで、ぷいっと顔をそむけて、もういらない、の合図。はあい。

 布団をかけて、隣に潜り込んだ。パワーちゃんはもう半分以上ねむっていて、まぶたがふるふる痙攣している。それでも、私が隣に滑り込むと、もぞ、と寄ってきて、私の胸元に額を押し付けてきた。かわいい……子猫ちゃんだなあもう本当に。もう一回襲われても文句言えないよ?

 ぎゅう、と抱きしめる。あったかい。シャンプーの匂い。

「……なあ」

「うん?」

 寝ぼけた声でぼそり。

「……ワシ、ちゃんと、ちゅう、できとったかの……」

「うん。ぱわちゃんが世界一上手だったよ」

「……そうか。じゃあ、デンジに自慢しないと……あっ、あ」

「ふふ、いいよ、怒ってないから大丈夫」

「……ぇへ」

 パワーちゃんの口角がふにゃ、と上がった。それからもぞもぞと私の腕の中で居心地のいい位置を探して、ようやく落ち着いて、すー、と寝息を立て始める。

* * *

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